南開大学の精神(スピリッツ)

大学の偉大さはその偉大な精神にあり、精神こそ、大学の根本であり、魂であります。世界一流大学を創るには、このような精神的な指導やサポートが欠かせません。どの大学にも独自の精神があり、大学の教育理念や追求する価値を体現しています。英国の現代哲学者ホールデン子爵(Lord Haldane)は「一つの国の魂は自国の大学の中でその真理を反映する」と語りました。


南開大学は創立100年以来、終始大学の歴史伝統や運営スタイルを堅持し、南開特色のある大学精神を育成・発揚し、それを南開大学の教育伝承に組み入れました。周恩来、陳省身、曹禺、呉大猷など多くの優秀な人材を育成した南開大学は、非凡な「南開現象」を成し遂げました。


南開大学の波乱万丈な歴史を振り返ると、まさにこの博大で奥深い南開の精神が道しるべとなり南開人を励ましてきたのです。南開(中学校)のOBとして、温家宝氏は南開精神についてこのようにまとめました。「南開精神は学生の国家と社会利益に対する深い認識だけでなく、未来に向かう青年精神、そして国や社会への献身と愛国精神も含まれている」と。


南開精神は豊富な内容と意味を持っており、異なる角度から解読することができます。しかし、校訓は南開精神の核心的理念であり、南開精神は永遠に存続します。


誠心誠意を以って公衆の利益に奉仕し、勇敢に責任を取り、チームワークを重視します。南開精神は南開大学の強烈な愛国心の結晶であり、愛国主義は南開精神の魂であります。南開大学の運営者は、教育の意義は「身を修める(身を潤す)こと」にあり、特に「公共(大衆)の利益(書事)に献身する」ことにあると考えています。道徳のある人間を育てるには、自分の利益だけではなく、公共(大衆)の利益に献身することを強調しなければなりません。社会の発展に奉仕し、国をより強く、より豊かにすることが知識人の使命なのです。公共(大衆)の利益に献身することを重要視するため、愛国主義精神の特徴をはっきりと体現しています。南開大学の学者たちは、愛国主義だけでなく、公共(大衆)の利益に身をささげる精神も強調しています。南開大学の校訓(モットー)は公衆の利益に奉仕する精神的追求を体現しているのです。初代学長張伯苓氏は、「公」の意味とは私利私欲から抜け出して、公共(大衆)の利益に貢献することだと何度も指摘しました。「将来南開精神の実践に成功した人物がいるとすれば、それは必ず允公の精神を実践した人物だと断言する」と熱く語りました。それと結びついているのは「楽群精神(人付き合いや社交を楽しむという意味)」であります。南開大学の先人から見れば、個人が集団や民族団結に溶け込むことを強調する「楽群精神」は極めて重要です。なぜなら、学生の「楽群精神」なしには、民族全体の団結力は語ることができないのです。このような思想の指導の下で、南開大学はこれらの精神や思想のために道徳的な環境を作り、転換期にある現代社会人の利己的な悪習を正そうとしてきました。このような人文環境の中で生活・勉学する南開大学の学生たちは、周恩来総理の「中華民族の台頭のために読書する」という精神を自ずと理解できるはずです。実はこれこそが、南開大学から多くの優秀な人材が輩出する重要な原因の一つでもあるのです。


たゆまぬ努力を続けて、苦労に耐える。

当初私立大学として民間の力によって設立された南開大学は、近代中国の政治不安、頻繁な戦争、外敵の侵入を経ても、発展を遂げてきました。小さな校舎をスタートラインに、「南開系列」に発展した南開大学は、驚くべき根気と粘り強さを世に見せてきました。1937年、南開大学のキャンパスは日本軍によって破壊されました。教師や学生たちは水を渡って南下し、国のために力を尽くし続けていました。そして抗日戦争に勝利した暁、南開は財政難に直面するも、自力でいち早く再建を果たしました。1976年、天津市南開区は深刻な地震被害を受けました。教師と学生たちは引き続き臨時に建てられた小屋の中で研究・勉学を続け、決して困難に屈したりしませんでした。南開には真実を求めて実務に励み、苦労に耐える伝統があり、学生には「粘り強さ」、「根気」、「勤勉さ」「地道に努力する」などの人間としての素質求めています。ある有名な南開OBは、「南開精神は行動に移すことや地道に努力を続けることだ。」と語っています。南開人は表面的な、口先だけの宣伝を好まず、それよりも細やかに実務をこなしています。数百年の歳月を経た南開大学は、実務的で誠実な校風が形成されました。これは中国の近代教育の指針であり、南開大学が新中国で発展を続ける重要な精神力でもあります。


時代と共に進む、開放的なイノベーション精神。南開大学は終始、中国文化と欧米文化を同時に受け入れる開放的な態度を持っています。南開大学の校訓(モットー)における「日新月異」は、南開大学の管理と研究のためのマクロ理念だけでなく、教育方式の具体的な要件というミクロの面の意味も含まれています。南開大学は創立当初から、国のを強くするためには海外の先進的な科学技術・文化を受け入れることを力説してきました。中華人民共和国成立以来、特に改革開放以来、南開大学は伝統を継承し、学校の発展と世界の教育トレンドの調和を図りました。また、南開大学は新しい変化を求め、時とともに邁進する理念を提唱しました。改革開放の初期、南開大学は「人材が確保し難い分野は南開大学がパイオニアになる」方針を打ち出し、金融、観光、生物化学など、当時特に人材を必要としていた分野に率先して取り組み始めました。一部の大学が社会学学科の回復に懐疑的だった時、南開大学は率先して社会学研究コースを開設し、改革開放後初めての社会学専門人材の育成に取り組みました。また、南開大学は学生の早期の科学研究において、柔軟な仕組みで誘導することを重視し、学生のプロアクティブな視野や積極的なイノベーション能力の育成に力を入れてきました。21世紀に入ると、南開大学は対外開放と革新を強化しました。新しい学院づくりを積極的に模索し、大胆に実践しました。泰達(TEDA)学院、深セン金融工学学院、浜海学院を続々と設立し、イノベーション科学研究基金や柔軟な学制実践に取り組み、学生によるイノベーション創出を奨励しました。そのようななかで、南開大学のイノベーション型の人材を輩出し、大学も喜ばしい進展を収めました。


南開精神は学校管理で長期的に積み重ねてきた経験であり、教師と学生の崇高な追求でもあります。「愛国、敬業、革新、大胆な社会進出」という優れた南開大学伝統の具体的な内容であり、社会主義の中核的価値観の体現でもあります。


「愛国、敬業、革新、大胆に人の先に立つ」を核心とする南開大学の精神伝統は、中華民族の歴史の長い民族精神と伝統の美徳を受け継ぐだけでなく、南開大学の文化的特色、時代のトレンドや価値観も体現しているのです。南開大学の精神は愛国主義を核心とし、改革・革新を核心とする「中国精神(チャイナ・スピリッツ)」と同じ趣を持っています。南開精神の伝統は南開人の魂でもあるのです。このような精神的な伝統は世界一流のハイレベル大学づくりの内在的原動力であり、南開のたゆまぬ進歩の源でもあるため、南開大学の最も貴重な財産です。今後も、この精神的な伝統を引き続き発揚させてまいります。


日時計に刻まれた校訓(モットー)


南開精神を発揚し、愛国を堅持し、発展の道を歩みます。大学の発展の道は終始国と民族の運命と密接につながっています。国の難は大学の難でもあり、国を興せば、大学も強くなる。南開大学は五四愛国運動期に誕生した有名な愛国教育家である厳秀氏や張伯苓氏によって創設された中国の有名な大学として、戦時中においても平和建設の時期においても、「民族復興、国家富強」を自分の使命と認識し、終始時代変革と社会進歩の先頭に立って、国のために尽くしてきました。個人の発展だけでなく、国の存亡もかけた道でもあります。平和と発展を図るための道であり、科学教育によって国を興す道でもあります。人材育成の道であり、中国の台頭や繁栄のために身を捧げる道であります。この道は南開大学の「文で国を治め、理で国を強くし、商で国を豊かにする」という南開大学の趣旨を体現しています。まさにこの道で、南開大学は輝かしい成果を収めました。南開の教育モデルは引き続き中国の高等教育の発展のために貢献しています。


南開精神を発揚するためには、「允公」の品格を発揚しなければならなりません。張伯苓氏が自ら制定した南開大学の校訓(モットー)は、高度に濃縮された価値志向であり、南開大学の献身、革新的なメンタリティーが含まれています。社会主義建設の新時代において、中国共産党の教育方針を全面的に貫徹し、「公共(大衆)の利益のために身を捧げる」」教育を全面的に実施し、学科教育を指針に、道徳教育を主とし、能力教育を中心とする全面的発展を遂げ、国のために、愛国主義思想や社会に奉仕する能力を持つ学生を育ててまいります。「公共(大衆)の利益のために身を捧げる」という基本原則を堅持し、革新を教育の魂とし、内包的な発展を重視し、品質の特色を際立たせ、大学の総合実力とコア競争力を絶えずに向上させてまいります。「中国を知り尽くし、中国社会のために身を捧げる」という教育理念にこだわり、国家戦略や社会発展の需要をしっかり捉えて、人材、知力、資源の優位性を十分に発揮し、包括的なサービスを効果的に提供し、大学の発展、国家や地域経済・社会の発展に取り組んでまいります。


南開精神を発揚するには、青年精神を発揚しなければなりません。優秀な青年が集まる知識の森である南開大学は、活気に満ちています。質の高い革新的人材を育成するための重要な拠点として、南開大学は常に未来志向にこだわっています。このような活気にあふれ、鋭意進取に努め、永遠に青春を保つ精神は、南開大学の「自強不休、奮闘不休」の理念や南開大学の心広さを具体化したものでもあります。この独特な素質を維持するには、南開の発展は常に現代化に目を向け、世界に目を向け、未来に目を向け、常に時代と共に進み、改革・革新に取り組み、果敢に困難を乗り越え、勇敢に頂点に登らなければなりません。世界の大学教育発展の歴史の中に自分の立ち位置を見つけ、現代大学の長期的発展という大きな次元から、計画や科学的な発展戦略・措置を制定し、学校改革や各種事業を推進しなければなりません。


百年が経ってもなお変わらず、南開精神は各時代の南開人によって代々受け継がれています。彼らはたゆまぬ努力を重ね、南開大学の愛国の道、公益の品格や青年精神に新たな意味を持たせ、その実践・発展に取り組んでいます。


高度な愛国主義精神、国を救いたいという強い民族精神を持ち、それのためにたゆまず奮闘すれば、生命力に満ちる大学になれることを、南開大学の歴史が証明しています。南開大学は、中国共産党の正しい指導の下、南開精神を発揚し続け、南開精神をさらに豊かなものにし続け、中華民族の偉大な復興、科学教育で国を興す目標の実現のために、努力してまいります。